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小説を書くコツが身に付く実践ノウハウ ─第3回─ 創作脳とオリジナリティのススメ

公開日: : 最終更新日:2015/06/18 小説

みなさん、お世話になっております。
taskey Uの異端アンバサダー、丹一で御座います。

早いモノで、本連載も最終回となりました。
最終回までお付き合いいただき、ありがとうございます。
最終回となる今回は、第2回に引き続き、最後は『創作脳とオリジナリティのススメ』を紹介します。

創作脳のススメ

14601014695_dd8c815c39_oPhoto by Allan Ajifo on Flickr

前回の『”接着剤”のススメ』で述べた通り、魅力あるキャラクター創造に必要な要素である、創作思考を紹介します。

プロ作家にアイデアをどうやって考えているのかと問えば、「苦労してです」という答えが返って来ます。
それ程に、奇抜なアイデアや独創的なストーリーを生み出すのは容易ではありません。

では、独創的なアイデアを生み出すにはどうすれば良いのでしょうか?
そのヒントを推理作家の北村薫さんは幻冬舎『ミステリーの書き方』で、次のように述べています(以下、特に断りが無い場合、引用部分は全て『ミステリーの書き方』からの引用です)。

「『あっ、あれは、これを描くのに使えるかな』ということを、頭の中に”貯金”しておくこと」

また、推理作家の東野圭吾さんは次のように述べています。

「今までにないアイデアを探す前に、『こういうネタは小説にならないだろう』とか、『こういうのはきっと面白くないだろう』とかいった壁を自分の中に作ってはいけない」

この御二方のように、日常生活の中で心に留めたコトに着目したり、探究心や好奇心の琴線に触れたコトを深く掘り下げたりするコトが肝要だと思います。
それらアイデアの源泉を、逐一メモするコトが大事です。
プロ作家の7割は、アイデアを書き留めておくノートを持っているそうです。

わたしはアナログな人間なので、思い付いた語彙やアイデアを剥がせる付箋に書いています。
それをプロット用ホワイトボードに貼って、ストーリー進行の目処にしています。

また、アイデアを捻出する方法ですが、わたしは毎日最低一時間を執筆に関連する時間に当てています。
それというのも、漫画原作者の小池一夫さんが講談社『人を惹きつける技術』で、次のように述べているからです。

「一時間、机に向かって作品やキャラクターを思い描き、創るのです。これができないとクリエイターにはなれません」

わたしはこの言葉、最初は根性論かと思いました。
しかし、いざ自分が創作者となると、毎日決まった時間に創作をする習慣が大切だと知りました。
この習慣サイクルにならないと、小説の世界に入っていけないのです。

人間は飽きっぽい生き物です。
何の刺激も無い時間に、脳は耐えられないのです。
脳が刺激を求めて、アレコレ妄想し始めます。
わたしはこれを『脊髄反射で書けるように、創作脳を鍛える』と呼んでいます。
実際にプロ作家の6割が、規則正しい執筆サイクルを送っているみたいですね。

アイデアに行き詰ったら

15891995169_df7782937f_kPhoto by Mike Kniec on Flickr

決まった習慣サイクルで『創作脳』を鍛錬しても、アイデアは水物ですから降りて来ない時がありますよね。
それを打開するヒントを東野圭吾さんは次のように述べています。

「アイデアに詰まった時は、小説を読んでも駄目です。
文字を追わなくてはならない小説よりも、映画やマンガの方が、情報が映像や絵としてすぐに目に入ってくるぶんアイデアのヒントが早く見つけやすいんです」

わたしも小説を読むより、ドキュメンタリー番組や漫画または音楽から、アイデアの尻尾を捕まえる場合が多いですね。

そうした『素材』や『ネタ』をどうやってアイデアに調理するのか──
その調理方法が、人それぞれの感性であり思考形態、または経験の積み重ねだと思います。
それを推理作家の柄刀一さんは、次のように端的に述べています。

「プロの作家に必要なのは、湧き水を大河にまで持っていく力量なのだ」

オリジナリティのススメ

3347658610_bd6daf9b57_bPhoto by 10ch on Flickr

最後の章となりました。
トリを飾るのは、『オリジナリティのススメ』です。この章では主に、オリジナリティのある文体について述べたいと思います。

オリジナリティのある文体とは、誰が読んでも「あっ、あの作家の小説だ」と分かるモノです。

三島由紀夫さんは『永遠の旅人―川端康成氏の人と作品』の中で、文体について次のように述べています。

「小説家における文体とは世界解釈の意志であり、鍵なのである。
混沌と不安に対処して,世界を整理し,区画し,せまい造型の枠内へ持ち込んで来るためには,作家の道具とては文体しかない」

何故最後になって文体を考えるのかといえば、それはベストセラー作家ディーン・D・クーンツさんが、朝日文庫『ベストセラー小説の書き方』で、次のように述べているからです。

「作家が本当に売らなければならない唯一のものが文体だ。
すべての物語は語りつくされている。
小説に新鮮味を盛りつづけている唯一のものは、ユニークな視点とユニークな語り口、つまり個性的な文体を持った新しい作家なのである」

こんなコトを書いても、正直わたし自身がオリジナリティのある文体が分かりません。
そんなモノが書けるなら、こんなに苦労はしませんね。

でも、それはプロ作家も同じようです。
実際、プロ作家でさえ、オリジナリティのある文体を模索しているのですから。
推理作家の香納諒一さんは、次のように述べています。

「プロの物書きは誰でも、作家志望者といわれる人たちの十倍は努力しています」

では、オリジナリティのある文体とは何でしょうか?
この連載で最初に紹介した『模書のススメ』では、プロ作家の小説を模倣することを紹介しました。
これは独自の文体を形成する上でも、大変役に立つからです。

推理作家の五十嵐貴久さん、こう述べられています。

「例えば、名作映画と呼ばれる素晴らしい場面を、セリフのテキストにすれば、誰がどう書いても、それはある一定のレベルを保つことができるでしょう」

またプロ作家は、まわりくどい表現を避けよ、と言います。
焦点の定まった文章を書く為に、形容詞や副詞を控える方が良いそうです。

描写に関しても、情景を立ち上がらせる一点を書けば良いと言われます。
どうやら短い文章で表現する術を身に付けろ、というコトのようですね。
リズムとテンポの良い文章を心掛けるコトが良いと、わたしは思っています。

先のディーン・D・クーンツさんは、こうも述べています。

「小説に簡潔さを求めるという意味は、けばけばしい比喩を避けよということである。
その場にふさわしい適確な形容詞を選びたまえ。ヘミングウェイの『老人と海』を見よ」

短いセンテンスで表現する努力をしながら、わたしはもう一つのコトも取り入れています。
それが五感に訴える表現のメソッドです。

強く読者を惹き込む為には、読者の感覚を刺激する必要があります。
読者との共通項である五感、匂い・触感・音・味わいなどを通して、小説の世界に引き込む術を身に付けたいからです。

絶望的に未熟ですが、拙作『Perfumer-香霊師・八分儀カオル-』では、香りと色彩を通して嗅覚と視覚に訴えるコトに挑戦しました。

作家のハーモニーを奏でよ

9234796788_4f67800bf9_kPhoto by Mats Hagwall on Flickr

五感に訴える表現方法を試しながらも、やはりオリジナリティのある文体は何か模索しています。

文体も持たない作家だと云われた川端康成さんの短編を『模書』しても、そこにうっすらと虚無の色彩を感じることが出来ますが、わたしが理解するには程遠い存在です。

そんな時に、『ベストセラー小説の書き方』の中で、このような言葉を目にしました。

「作家の態度、人生観、希望、夢、おそれと憎しみ、徳、欠点、ファンタジー、これらのすべてが文体を豊かにする素材なのだ。
個性的な文体を作るのは、自分自身で努力しなければならない。
自分の文体は自分の精神からだんだんと形成されるものである」

自分の感性を磨いて、人を惹き付けるセンスを身に付けるしか、オリジナリティのある文体を生み出すコトは出来ないと知りました。

生活するのも、喜怒哀楽も、本を読むのも、映画を観るのも、音楽を聴くのも、すべては自分の中に刻まれるリズムを文体にして、小説という美しいハーモニーを奏でる為なのです。
自分の人生を豊かにして、芳醇な音色を高らかに奏でましょう!

長々と書かせていただいたわたしの連載は、これで終了となります。

基本的に、小説を書く手法は人それぞれだと思います。
それゆえに人の数だけ小説があり、その魅力は未来永劫尽きません。
でも、これから小説を書こうとしている皆様は、自分の感性を磨くコトだけは心に留めておいてください。

いつの日にか、それが役に立つ日が来ると信じて、わたしの連載を閉じたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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丹一
taskey Uの異端アンバサダー 丹一です。 小説を書き始めて、やっと若葉マークの取れた新人です。 物語とはナニカを模索する若輩者ですが、努力あるのみで精進していきます。

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