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クリエイターなら読んでおきたい! 海外小説10選(ミステリー編)

公開日: : 最終更新日:2016/02/26 おすすめ小説

13806153755_b7becc3086_bPhoto by Stefano Montagner on Flickr

みなさんこんにちは、永瀬晴輝です。

前回のファンタジー小説10選はいかがでしたか?

クリエイターなら読んでおきたい! 海外小説10選(ファンタジー編) | taskey Uクリエイターなら読んでおきたい! 海外小説10選(ファンタジー編) | taskey U

さて、今回はミステリー小説を10作品選んでみました。

ミステリー小説といっても本格推理物だけではありません。ハードボイルド、サスペンス、スリラーというように、非常に幅の広いジャンルです。

そのうえ、ミステリー小説は作家も作品も膨大です。多過ぎて読むほうが追いつかないくらい、世の中に溢れています。

そんな星の数ほどある作品群の中から、私なりに選ばせて頂いた10選です。

ミステリーの王道、本格推理小説

3225344635_8fc2a771f0_bPhoto by Stefano Montagner on Flickr

ミステリーといえば、名探偵が謎を解く本格推理小説が王道でしょう。

世界で最初に書かれた本格推理小説は、エドガー・アラン・ポーの【モルグ街の殺人】であると言われています。

そして、世界最高の名探偵といえば、あのサー・アーサー・コナン・ドイルの生み出したシャーロック・ホームズですね。彼の登場によって、ミステリー小説はエンターテイメントとしての地位を築いたといってもいいでしょう。

さて、本格推理小説の最大の特徴は、名探偵が事件を解決していくところにあります。ホームズの登場以降、様々な名探偵が多くの作家によって生み出されました。

まずは、イギリス人作家が生み出した3人の名探偵のシリーズをご紹介しましょう。

エルキュール・ポアロ

エルキュール・ポアロは、イギリスで最も有名な女性ミステリー作家アガサ・クリスティが生み出した名探偵です。

小柄で卵形の頭に黒髪、ぴんとはね上がった口髭をたくわえ、口癖は「灰色の脳細胞」。自らを世界最高峰の探偵と自称する自信家です。

ホームズはありとあらゆる物的証拠を積み上げていくのに対し、ポアロは容疑者達との尋問やなにげない会話に重点を置いており、いわゆるプロファイリングが彼のスタイル。灰色の脳細胞をフル回転させ犯人を追いつめる一方、地面に這いつくばって証拠集めをするなど「猟犬じゃあるまいし」と否定しています。

ホームズと比べて人間味に溢れているのがポアロの魅力でしょう。そんなポアロの最高傑作が【ABC殺人事件】です。

アルファベット順の場所で殺人事件が起こり、犯人からポアロに挑戦状が届く。被害者の名前もアルファベット順。ポアロは犯人を捕まえることが出来るのか? 最後までハラハラさせられる名作。

ピーター・ウィムジー卿


さて、お次はアガサ・クリスティと双璧と謳われた女性作家ドロシー・L・セイヤーズの生み出した名探偵ピーター・ウィムジー卿。日本ではいまいち知名度が低いようですが、実は本格推理きっての貴族探偵として、英語圏では現在でも根強い人気を誇る名探偵です。

のっぺりした金髪にグレーの瞳、面長の顔立ちという典型的な英国上流階級の容貌で、ポアロとはまったく正反対のイケメン。時々モノクル(片眼鏡)をかけています。

さて、今回紹介するのは第一作目となる【誰の死体?】です。

実直な建築家が住むフラットの浴室に、ある朝見知らぬ男の死体が出現。全裸に金縁の鼻眼鏡と金鎖のみを身につけていた。一体この死体は誰? この奇妙な事件にピーター卿が捜査に乗り出す。さて、この死体は何者で、誰がここに死体を置いたのか?

因みに、この作品は初め【金の鼻眼鏡の男の奇妙な冒険】だったそうです。セイヤーズは何故このようなタイトルを付けようとしていたのでしょう。答えは作品の中にあります。

ブラウン神父

丸い顔にずんぐりとした身体、丸眼鏡にこうもり傘。サセックス教区のカトリック司祭にしてアマチュア探偵ブラウン神父。ホームズ、ポアロと共に世界三大探偵に挙げる人もいます。G・K・チェスタトンの生み出した名探偵です。

ブラウン神父は自ら事件に首を突っ込むことはなく、巻き込まれることが多いです。控えめな感じがこの名探偵の魅力といえるでしょう。

今回は、第1作として【ブラウン神父の童心】をご紹介します。ブラウン神父のシリーズはすべて短編集です。ちょっと変わった神父様の言動をお楽しみください。

【青い十字架】パリ警察のヴァランタンは変装の名人フランボウを追跡していたが、彼を捕まえるのは至難の業。
とあるカフェに入ると、砂糖壺に塩が入っていた。店員に文句を言うと、「壁にスープをひっかけた二人連れの神父がやったのでは?」と答える。気になったヴァランタンはその二人の神父を追う。すると奇妙なことばかりが起こって…。他11編収録。

傑作を生み出すクローズド・サークル

Photo by Tatiana Vdb on Flickr

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ミステリーの定番的トリックといえば、密室です。密室は犯人にとってアリバイ工作に最適なトリックといえます。ただし、それは建物などの限られた空間に仕掛けるものであり、そこに閉じ込められているのは被害者ただ一人。

しかし、違ったタイプの密室もあります。絶海の孤島、吹雪に閉ざされた人里離れた山荘などに登場人物たちは犯人と共に閉じ込められる。もちろん、犯人は誰か解りません。犯人は一人、また一人と閉じ込められた人々を殺害していく。犯人探しが行われ、話が進むにつれて、登場人物たちの過去が次第に明らかになっていく…。 

このように、人里と隔離された場所に閉じ込められた形で事件が起こるタイプのものを、「クローズド・サークル」といいます。そのクローズド・サークルの傑作を一つご紹介しましょう。

そして誰もいなくなった


常にアガサ・クリスティの作品ランキングで第一位に輝き続ける傑作中の傑作、それが【そして誰もいなくなった】です。舞台化の際にはクリスティ自ら戯曲を執筆しており、原作と戯曲では結末がガラリと変わっていることでも知られています。

インディアン島に招かれた、年齢も職業も異なる男女10人。だが、招待状の差出人であるU.N.オーエンは姿を現さない。その招待状は偽物で、迎えの船は来なくなり、10人は絶海の孤島に閉じ込められてしまう。やがて、晩餐の最中、彼らの過去の過ちを告発する謎の声が響き渡り、最初の犠牲者が出る。マザーグースの「10人のインディアン」になぞらえて次々に人が死に、その度にインディアンの人形も減っていく…。

原作と戯曲版では結末が違うのですが、それはクリスティが舞台で残酷な結末は良くないと考え、元々「10人のインディアン」には歌詞が二通りあったことから、舞台版ではハッピーエンドの結末となっています。

映画も殆どがこの戯曲版だそうです。興味のある方は戯曲版も読んでみてはいかがでしょうか。

サスペンス小説とはどんなもの?

4593835179_a87d818840_bPhoto by Marcelo Braga on Flickr

ミステリーとサスペンスは、厳密には違うものとされています。サスペンスとは本来【観客の心を宙吊りにする】という意味で、ズボンのサスペンダーが語源だという説もあります。

つまり、ある状況に対して不安や緊張を抱く状況が続くような作品のことをいいます。謎解きが主体ではないんですね。例えば、映画の【激突】や【レベッカ】などがその代表格でしょう。ということで、今度はサスペンスミステリー小説を一本ご紹介致しましょう。

ロバート・ラングドン・シリーズ

ダン・ブラウンの人気シリーズ。宗教象徴学を研究し、ハーバード大学で教鞭を取る主人公ロバート・ラングドンが、様々な宗教がらみの事件に巻き込まれ、その謎を解いていきます。

もう、最初から最後までハラハラドキドキ。どんでん返しがあり、続きが気になって寝不足になってしまいます。一気に読んでしまいたいシリーズです。

その第1作【天使と悪魔】をご紹介します。実は【ダヴィンチ・コード】とどちらにするか迷いました。しかし、やはりシリーズの1作目からということで、こちらにさせて頂きます。

舞台はバチカン市国を含むローマ。ラングドンは秘密結社イルミナティを名乗る者が起こす殺人を阻止するためにバチカンへ呼ばれる。イルミナティの紋章の焼き印を押された死体は大量の反物質の生成に成功した科学者で、その反物質は犯人の手に渡っており、バチカンに持ち込まれていた。折しもローマ教皇が崩御し、新教皇選出のコンクラーベが行われようとしているとき、候補者の4名が犯人に拉致されていた。ラングドンは候補者達を救出し、反物質を取り戻すことが出来るのか?

スリラーはホラーにあらず

3052020494_2fca06bcf3_bPhoto by Anderson Mancini on Flickr

スリラーと聞くと、どういうワケかゾンビやら怪物やらが出てくる怖いお話と勘違いする人が多いです。何故と考えていたら、あることに思い当たりましたよ。マイケル・ジャクソンの名曲【スリラー】です。

あのプロモーション・ビデオのゾンビダンスのせいです。あれのせいで日本人の大半がスリラーはホラーの同義語というか、同ジャンルだと勘違いすることになったに違いないと、私は確信しています。何せ、友人の大半がこの説に納得してましたから。

スリラーはどちらかといえばサスペンスに近いものですが、厳密に言えば、アクションの要素が強いです。アクション小説=スリラーと呼んでも間違いはないです。ハリウッド映画の殆どがこのジャンルに入ると見て間違いはないでしょうね。あの世界一ついてない男のシリーズとか、最終兵器と呼ばれている刑事とか、ゼロナンバーの英国諜報部員とか。

ということで、今回はスリラー小説の中から、2つのシリーズを紹介します。

ぼくを忘れたスパイ


最初この作品を読んだときの衝撃というか、この斬新さは私のキャラクター作りに大きな影響を与えてくれました。

借金を抱えて首が回らなくなってしまったチャーリーは、金目当てで元敏腕スパイでアルツハイマーの父親ドラモントを引き取った。しかし、ドラモントはアルツハイマーになる以前に何かとんでもない秘密を握っていたらしく、何者かに尾行され、誘拐されかけ、挙げ句の果てに自宅を爆破されて殺し屋に追われることとなる。
真相を掴むため、時々正気に戻るドラモントと二人で逃避行の旅に…。

続編として【コードネームを忘れた男】も出てますが、まずは第1作目をお楽しみください。作者はキース・トムスンです。

この作品を読んで、認知症や知的障碍者を主人公にしてスリラーやファンタジーを書いてもいいんだと目から鱗が落ちましたよ、本当に。

ジョン・レイン・シリーズ


このシリーズの作者バリー・アイスラーは元CIA工作員で(しかもかなりのイケメン)、日本滞在経験があり、日本語も話せるそうです。その日本滞在経験から作られたキャラクターが日米ハーフの殺し屋ジョン・レイン。

その生い立ちから、アメリカにも日本にも受け入れられない孤独な暗殺者。そんな彼を主人公にした第1作目が【レイン・フォール/雨の牙】です。

日本でレインの請け負った仕事は、国土交通省のキャリア官僚の暗殺。山手線の車内で、ターゲットに近付き、自然死に見せかけて殺害。これで仕事は終わるはずだったのだが、この暗殺が彼の運命を一変させることになる。

作者に日本滞在経験があるだけに、東京の描写がリアル。海外の小説なのに舞台が日本なので、まるで日本の小説を読んでいるような錯覚に陥ることも。

映画化もされましたし、シリーズも何冊か翻訳されています。

やっぱり、ハードボイルドは外せない

11397817886_2ddfb0affe_kPhoto by Justin Maalihan on Flickr

ミステリーの中でもやっぱりこれは外しちゃいけない。ハードボイルド小説です。

ハードボイルドというのは、文芸用語としては、暴力的、反道徳的な内容を批判を加えないで客観的かつ簡潔な描写で書く技法で、ヘミングウェイなどがその代表格です。

さて、ミステリーとしてのハードボイルド小説となると、また少し変わってきます。クールな私立探偵が主人公である場合が多く、暴力的なシーンも多い。スリラーとはまた少し違う、どちらかというとドライな印象の作品が多いように思います。

そのハードボイルド小説の金字塔ともいうべき作品をご紹介しましょう。

長いお別れ


レイモンド・チャンドラーの名作で、最近では村上春樹さんが翻訳したバージョン【ロング・グッドバイ】も出ていますが、私は以前から出ていた清水俊二さんの訳であるバージョンが好きです。タイトルも日本語で【長いお別れ】と、なんとも味わいがあって良いではありませんか。

フィリップ・マーロウという探偵のシリーズの一つです。結構長いです。でも、面白い。全体的に暗い話ですがね。

マーロウはふとしたことから二度助けてやった見知らぬ酔っ払いの男テリーと友人になる。彼は何処か気品のある男で、ある日、妻の殺人容疑をかけられたことから、マーロウは彼の逃亡を助け、メキシコへ逃がすが、遺書を残して自殺してしまう。彼の無実を証明するため、マーロウは捜査を開始する。

ハードボイルドミステリーを語るなら、決して外せない名作です。

最近のミステリーに多い、警察小説

1795928176_e412af1a66_bPhoto by Dave Conner on Flickr

特に日本のミステリーには多いというか、いや、日本でなくても海外でも警察官が主人公のミステリーは沢山ありますね。日本ではドラマが有名な【バーナビー警部】とか、【ヴァランダー警部】とか【メグレ警視】とか。結構あるんですよ。

やっぱり現実の犯罪捜査は警察の専売特許ですものね。ということで、今回はアメリカの有名な警察小説を一つ紹介するとしましょう。

87分署シリーズ


エド・マクベインの人気シリーズです。何故この作品を選んだかというと、このシリーズは日本で渡辺謙さん主演の【わが町】シリーズで二時間ドラマ化されているんですよね。

他にも映画では【天国と地獄】のタイトルで【キングの身代金】が黒澤明監督によって映画化されていますし、日本ではたくさん映像化されているシリーズなんです。

では、第1作目の【警官嫌い】をご紹介しましょう。

連日猛暑の続くアイソラ市の路上で、夜勤に向かう87分署の刑事が、2発の銃弾を受けて死亡した。残された手掛かりといえば45口径の拳銃から発射された銃弾のみ。懸命な捜査にも関わらず、犯人は捕まらず、同じ45口径によって、またしても87分署の刑事が殺害される。そして、第3の犠牲者が出た――。

アイソラ市というのは架空の街で、ニューヨークをモデルにしているそうです。確かニューヨークの地図をひっくり返したような地形だったはず。キャラクターの描写が秀逸で、魅力的に描かれてますので、そういう点でも勉強になる作品かと思います。

少年探偵団は海外にもあるんです

7135286023_d497244e4f_bPhoto by Rifat Attamimi on Flickr

海外には少年、少女探偵の小説が結構あります。スウェーデンの少年探偵カッレくんとか、アメリカの少女探偵ナンシー・ドルーやジュディ・ボルドン、ドイツには【エミールと探偵たち】なんてのがありましたっけ。

日本では江戸川乱歩の少年探偵団が有名ですが、少年探偵団は実はイギリスにもいたんです。それも、かなり個性的なメンバーが揃ってます。

マガーク少年探偵団シリーズ


オレ様な少年ジャック・マガークによって結成された少年探偵団。マガーク宅の地下室が本部となっていて、団長のマガークはジャックではなく姓のマガークで呼ばれています。もう、典型的なガキ大将です。

物語の語り手でワトソン役を務めるのが、ジョーイ・ロカウェイ。マガークの親友です。そして、最初の事件の依頼者で驚異の嗅覚の持ち主ウィリー・サンドフスキー、おてんば娘で木登りが得意なワンダ・グリーグが加わり、この4人が初期からのメンバー。後にブレインス・ベリンガム、マリ・ヨシムラが加入して6人になり、毎回事件を解決していきます。

日本では21冊まで翻訳されており、第1作目【こちらマガーク探偵団】から読むことをお勧めします。

消えたキャッチャーミットと探して! それがマガーク探偵団最初の依頼だった。捜索の末、とうとう犯人を突き止めるのだが、それは意外な犯人で…。探偵団の個性的なメンバーの活躍は本当に面白い。ジュブナイル小説ですが、子供が探偵役の物語としては是非一読願いたい作品です。

まとめ

さて、今回は少し長くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。既にご存知の作品もおありかと思いますが、もう一度読み返してみるのも一興かと思います。本当はもっと沢山紹介したい作品があるのですが、そうなると本当にきりがない。

ミステリー小説は本当に膨大な作品数が出回っています。海外には良作も多いです。特にイギリスはミステリー発祥の国ですからね。名探偵だけでも何人いることやら。

特にクリスティ贔屓の私としては、ミス・マープルも紹介したかったですね。放っておくとクリスティ作品だらけになりそうなので、二作品に止めました。

では、次回はSF小説編でお会いしましょう。

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永瀬晴輝
taskey Uアンバサダー。この夏から関西創作集団【Blue Moon Pirates】を立ち上げ、舞台のノベライズ、脚本を手掛けるなど、活動の幅を広げている。無節操にジャンルの垣根を越えて書きまくるよろず作家として、これからもパワフルに活動していきますので、どうぞよろしく。

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