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旅をカタチに―紀行文を書こう―

公開日: : 最終更新日:2016/02/26 小説ノウハウ

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こんにちは。taskey U編集部の松下です。

皆さん誰もが旅行の経験をお持ちのはず。では、その旅行を形にして残したことはありますか?

今回は旅行の経験を文章にしたためる、「紀行文」に焦点を当ててお届けします!

紀行文とは

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紀行文とは何なのか。まずは、その定義から確認したいと思います。

紀行……旅行中の見聞・感想などを書きつづった文章。旅行記。

via:明鏡国語辞典第二版、大修館書店、2011

わかりやすく言うと、旅行の感想文、ということになりますね。

紀行文を書くということは

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実際に紀行文を作る前に、紀行文を書くことの意義について考えてみましょう。

やはりきっかけの大部分は「旅の思い出を残したい」というものなのでしょうが、果たしてその先には何があるのでしょう?

旅の思い出をただ写真に収めるのもいいですが、文章に残すことで、旅先で考えていた気持ちをより鮮明に表すことができます。

写真では薄らいでしまうそのときの記憶を、言葉に乗せて残す、ということですね。

ちなみに、僕の場合は動機が少し違うことがあります。

その動機とは、「昔の恋人との思い出を吹っ切る」です。当時付き合っていた人と行くはずだったところに行って、そこでの体験を文章に残す。

一見傷をえぐるような行為に見えるかもしれません。また、そういった動機で書くものは、戻ってきて気持ちの整理がつかないまま、すぐ書けるものでもありません。

確かに書き上げるのに時間がかかるのですが、「今まで自分がしてきたことには意味があったんだな」、と確認するために書いています。

そして実際に書き上げた時に、自分の中でその思い出を消化することができるのです。

少々重い話になってしまいました。紀行文を書く動機は、このように様々あって良いと思います。

さて、ここからは具体的に紀行文を書く時のポイントについてまとめていきます!

よい紀行文を書くには

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それでは、よい紀行文を書くにはどういったところに気をつければよいのでしょうか? 僕が以前行った松本への旅行を例にとって、3点に注目してみました。

描写を豊かに

小説でも言えることですが、豊かな表現が特に重要です。「○○がよかった」「○○に感動した」というような単純な表現は、友達に感想を語るときはよいのでしょうが、単なる作文の域を出ません。

例えば冬の松本城の良さを伝える文を考えてみましょう。

冬の松本城はよかった。感動した。

これでは、一体何が「よかった」のか、何に「感動した」のかわかりませんし、読んでいてあまり面白くありませんよね。

もう少し、情景を付け足していきましょう。

雪の積もった松本城に着いた。お堀には白鳥がいて、雪と黒い城壁と赤い橋がきれいだった。

これで事実関係ははっきりしました。しかし、表現が単調で、読んでいて魅力を感じません。

では、これならばどうでしょう。

大通りを抜けて、松本城に辿り着いた。城壁は雪化粧をまとっていて、お堀で白鳥が寒さなどお構いなしに優雅に泳いでいる。朱塗りの橋が、真っ白な雪景色と城壁の黒によく映えた。

これなら事実関係もはっきりしていて、描写も丁寧。情景が目に浮かんできますね。

写真を撮る

旅と言えば、やっぱり写真。「言葉にしたい」とまではいかなくても、心に留まった風景は写真に残しておくことをおすすめします。

先ほどの松本城の描写に合わせて、僕が撮った雪景色の松本城の写真を選んでみました。

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一面の銀世界の中に佇む松本城。そして眼前に架かる朱塗りの橋。描写に合わせた写真を挿入することで、読者を旅の世界に引き込む効果がいっそう期待できます。

どの部分を描くか

旅行記というと、旅の一部始終を文章に残さないといけないのではないか、と思っている方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

目的地の様子を描くのが一般的ですが、たとえば出発するその瞬間を切り取るのも立派な紀行文の一つです。

以下の文章は、僕が個人で活動するときの恵庭 洋(えにわ ひろし)名義で松本旅行に着想を得て書いた小説の冒頭部分なのですが、これだけでも旅の感傷が伝わってくると思います。

二〇一五年一月二一日午後二時四六分 新宿駅十番線ホーム

明日私は、旅に出ます。あなたの知らない、ひととふたりで。いつかあなたと行くはずだった、春まだ浅い、信濃路へ。

子供の頃、街で流れていた流行歌。その歌詞の一節をなぞるように思い出していると、目の前に緑色の電車がやってくる。あれは山手線の内回り。その手前からちょうど出て行ったのは中央線の下り列車。小雨の降りしきる中、気付けばわたしは新宿駅の十番線ホームに佇んでいた。仕事を休んでまで、何をしているのだろう。三日の休みをもらい、気付いたら新宿で電車を待っているなんて。十五時ちょうど発、特急あずさ二一号松本行き。右手には松本までの乗車券と特急券。左手には旅のお供に、と買った子供向けの菓子と飲み物。わたしは今日、一人で旅に出る。あなたと行けなかった、雪深い信濃路へ。

(恵庭 洋『ゆきあずさ』)

実際の時間を使いつつ、狩人「あずさ二号」の歌詞を引用しました。その歌詞と共に主人公が幼少期の記憶を辿りながら新宿駅で電車が来るのを待っている。

この物語は、新宿を出発し新宿に戻る直前までを描いたものですが、電車―15時発特急あずさ21号松本行き―に乗り込み、出発するまでのわずか15分間を引き伸ばすことによって、旅行直前の心理状態や見慣れた街の景色を描き出し、そこに物悲しい雰囲気を与えることができるのです。

おわりに

いかがでしたか? 旅の世界も案外奥が深いもの。紀行文として作品に残すことで、旅の思い出を今まで以上に鮮やかに残すことができますね。

もうすぐ紅葉がきれいな秋の行楽シーズン! 今年はぜひ紀行文を書いて、その思い出を形に残してみましょう!

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松下 安武
松下 安武
日夜フランス文学と小説について考えて生きています。都内大学3年で、フランス現代文芸論を専攻。食べることと旅が好き。皆さんの創作意欲に訴えかけながら、様々な情報をアクティビティを交えつつ提供していきます!

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