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有名怪物のルーツは小説 メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』

公開日: : 最終更新日:2016/02/26 おすすめ小説

フランケンシュタイン
ハッピーハロウィン! taskey U編集部の飯泉です。

本日10月31日はハロウィン。ハロウィンと言えば、最近は魔女やお化けといった怪物に仮装するのが流行していますね。

仮装の定番と言われる怪物の中には、文学作品を元にしたものがいくつか存在します。

今回は、ハロウィン仮装の定番「フランケンシュタイン」の元になった作品をご紹介します。

怪物の名前は「フランケンシュタイン」ではなかった

フランケンシュタイン2
メアリ・シェリー著『フランケンシュタイン』は、1818年に発表されたゴシック小説。

名家に生まれた若き天才科学者フランケンシュタインが、生命の神秘を解き明かすために狂気的な実験を行い、怪物を創造して破滅していく物語です。

怪物の創造主であるフランケンシュタインは、その醜い容姿を恐れ、怪物に名前をつけませんでした。

怪物自身の名前が「フランケンシュタイン」になっていったのは、後世の映像化作品やパロディ作品で広く認知されるようになってから。

本来は「フランケンシュタインの怪物」であったものが、次第に略されていったようです。

自ら創った怪物を嫌悪し、名前をつけなかったフランケンシュタイン。その結果、自分の名前が怪物を指すようになったのは皮肉としか言いようがありません。

他にも、後世の創作で付け足された設定は多く、なかでも怪物らしく「狂暴で知能が低い」という設定は、原作の『フランケンシュタイン』には見られません。

『フランケンシュタイン』に登場する怪物は、知的で穏やか。人の言葉を解する醜い怪物が、人から受ける迫害の苦しみをフランケンシュタインに訴える場面は、むしろ怪物への感情移入を促しているようにも感じられます。

創造主と被造物の関係

フランケンシュタイン3
「創造主と被造物」、クリエイターの方にとっては親近感のある言葉のはずです。

フランケンシュタインとその怪物の関係は、クリエイターとその作品として読むこともできます。

「生命の神秘を解き明かす」という使命感に燃え、狂気的に研究へ没頭するフランケンシュタインが、完成した怪物の醜さに恐怖し、拒絶する──作品をいくつも作っているクリエイターであれば、フランケンシュタインを「作り手として無責任だ」と糾弾することは難しくなるでしょう。

同時に、醜さ故に誰からも相手にされない怪物への感情移入も、違った意味合いを持つようになります。

私も、書きあげたまま放置している作品を、たまにでもいいから見直したりしようという気持ちになってきました…。

現代に通じる「科学の発展への恐怖」

フランケンシュタイン4
『フランケンシュタイン』の原題は、『Frankenstein: or The Modern Prometheus』。日本語に訳すと『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』になります。

プロメテウスは、人類に「神の火」を与えたギリシャ神話の神。

火は人類の発展や技術進歩に必須のものですが、同時に使い方を間違えれば大きな災いをもたらすものでもあります。

「プロメテウスの火」と言えば、「人間が制御できないほどの科学技術」の隠喩。フランケンシュタインの怪物は、まさに人間が制御できない創造物だと言えるでしょう。

科学技術の著しい発展に対し、人は期待と同時に恐怖心も感じます。

そういった意味では、『フランケンシュタイン』は現代的なSFホラー小説とも言える作品なのです。

おわりに

いかがでしたか?

怪物だけが有名になってしまった『フランケンシュタイン』ですが、その元となった作品の内容も現代に通じるものとなっています。

ハロウィンの時期に、縁のある作品に触れてみるのはいかがでしょうか。

フランケンシュタイン (創元推理文庫 (532‐1))

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飯泉 涼花
飯泉 涼花
文章を書くことばかり考えています。大学では小説創作を専攻し、創作のノウハウや批評の仕方などを学んできました。クリエイターのみなさまの創作意欲を刺激する記事が書けるよう、頑張ります!

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