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ファンタジージャンルを書くための資料紹介 『魔女の薬草箱』

公開日: : 最終更新日:2016/02/26 資料

魔女の薬草箱1
こんにちは、射月アキラです。

ハロウィンの時期、仮装の定番として知られる「魔女」。ファンタジージャンルでは、魔法使いは定番の職業になりました。

魔女といえば、ヨーロッパで行われた魔女狩りの歴史を思い出す方もいるかもしれません。

では、なぜ「魔女」が狩られたのでしょうか。

「魔女」という概念が生まれた背景には、典型的な魔女のイメージである「大きな窯で怪しげな薬を作る女」の姿にヒントがあります。

今回紹介する『魔女の薬草箱』(山と渓谷社)は、魔女が生まれることになった「薬草」に関する資料です。

「魔法」のための薬草図鑑

魔女の薬草といえば「マンドラゴラ」を思い出す方が多いと思います。

『ハリー・ポッター』でも登場した「抜いたときに恐ろしい悲鳴をあげる、人型の根を持つ植物」は、強烈なインパクトと個性を持ったアイテム。多くのファンタジー作品に登場する有名な薬草です。

しかし、強い個性を持っている植物はほんの一部。

『魔女の薬草箱』に載っているのは、多くがヨーロッパの森や山でよく見られる植物です。

トリカブト、ベラドンナのような毒草、アサやケシといった麻薬に使われる植物、ヤドリギやヨモギといった薬草らしくないものも含め、40種以上の薬草が紹介されています。

魔女の薬草箱2
『魔女の薬草箱』P72-73

植物のスケッチの他、植物に関係するものや絵画が白黒で掲載されています。

以前紹介した資料『「聖書」と「神話」の象徴図鑑』に載っている絵画も含まれていますので、こちらと合わせて活用するのもおすすめです。

ファンタジージャンルを書くための資料紹介 『「聖書」と「神話」の象徴図鑑』 | taskey Uファンタジージャンルを書くための資料紹介 『「聖書」と「神話」の象徴図鑑』 | taskey U

中世ヨーロッパの「魔」と「日常」

『魔女の薬草箱』で紹介されている薬のうち、もっとも魔女らしく、いかにも怪しいレシピで作られているのは「魔女の軟膏」と呼ばれているものでしょう。

「魔女の軟膏」は、魔女が空を飛んで移動するために使っていたとされる薬。

魔女は箒で空を飛ぶイメージがありますが、ドイツでは雄山羊や豚、火かき棒に乗る魔女が多く描かれています。魔女が空を飛べるのは「箒」のおかげではなく、「軟膏」の効力によるものでした。

「魔女の軟膏」に使われているのは、幻覚作用のある薬草や、人間の脂、新生児の肉など。背徳的なレシピは、魔女裁判の審問官によって誘導されたものも数多くあるようです。

対照的に、日常的な伝統料理としてレシピが残っている薬草も存在します。

日本の「七草粥」のように、季節の行事に合わせ、数種の植物を中心とした料理を食べる文化が一部地域に残っています。

春を祝い、樹木や植物を用いた料理を食べるのは、自然神をあがめる土着の文化。キリスト教はそういった文化を、あるときは吸収し、あるときは異端扱いしてきました。

そういった意味では、山菜やハーブを使った料理は「魔女的」なものであると言えます。

「魔女」とはなんだったのか?

怪しい薬を作る気味の悪い存在でありながら、庶民の日常にも溶け込んでいた魔女。

『魔女の薬草箱』からは、魔女の二面性を読み取ることができます。

「賢い女」だった魔女

魔女の薬草箱3
キリスト教文化の元で行われた「魔女狩り」の標的になったのは、多くが妊婦の出産を手助けする産婆たちでした。

神から与えられた罰である「産みの苦しみ」を和らげる腕のいい産婆は聖書に逆らう存在でしたし、洗礼を受ける前の新生児が死んでしまえば「子供を悪魔に捧げた」と言われる立場にいたためです。

また、堕胎も教義に反する行為であるため、産婆が扱う多くの薬草は「魔女の薬草」と呼ばれるようになりました。

このように、生活に必要な知識を持っている「賢い女」であるにも関わらず、「魔女」として迫害の対象になったのが、「魔女狩り」の初期だと言われています。

以前紹介したライトノベル『ゼロから始まる魔法の書』でも、同様の「魔女狩り」の経緯が描かれています。

興味のある方は参考にしてみてください。

魔法の設定が参考になるライトノベル5選 | taskey U魔法の設定が参考になるライトノベル5選 | taskey U

魔女の薬草

魔女の薬草箱4
本書のメインとなるのは、やはり40種以上の薬草の紹介でしょう。

「魔女の軟膏」や「魔除けの植物」といったファンタジージャンルのメインとして活躍してくれそうな薬草から、現代でも食用・飲用に使われている植物など、中世ヨーロッパの日常を描く上で役立ちそうな情報が詰まっています。

中世世界の日常を書く上でも参考になる情報がたくさん載っているので、中世ヨーロッパ風の世界観を詳しく書きたい方はぜひ参考にしてみてください。

おわりに

フィクション作品の魔法使いほど派手ではありませんが、魔女の姿が見えてくる『魔女の薬草箱』。

中世の世界観に少しリアリティを持たせたいな、という方は、こういった資料も活用してみてはいかがでしょうか。

それではみなさま、よい執筆活動を!

魔女の薬草箱

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ファンタジージャンルを書くための資料紹介
『紋章の歴史 ヨーロッパの色とかたち』
『「聖書」と「神話」の象徴図鑑』
・『魔女の薬草箱』

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射月アキラ
taskey Uアンバサダー。 創作集団「ぐりむ☆りーぱー」所属。ネットの片隅に生きるファンタジー書き。 国際派投稿サイトtaskeyの存在を知ってソワソワする程度の壊滅的な英語力なので、とりあえずひとことだけ──Thank You for Your "Love it!" !!

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