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第二十一回文学フリマ東京で出会った素敵な本たち

公開日: : 最終更新日:2016/02/26 イベントレポート

第二十一回

こんにちは、taskey U編集部の伊藤です。

11月23日、東京流通センターにて第二十一回文学フリマ東京が開催されました。9月の大阪、10月の福岡と続いての11月東京。文フリ福岡に出店したのですが、文フリ東京には一般参加してきました。

私は熊本に住んでおり、前日まで演劇の公演で走り回っていたため、当日の昼に成田空港へ到着。成田空港から東京駅までって、結構時間がかかるのですね。近くにあるものだとばかり思っていました。

東京駅からJRに乗り、浜松町へ。また愚痴になって恐縮なのですが、なぜ山手線でも京浜東北線でも東京駅から浜松町へ行くことができるのでしょうか。田舎者の私には、本当に理解ができません。どちらに乗ったらいいのかわからず、5分ほど時間を無駄にしてしまいました。迷路です、東京は迷路です。

浜松町でモノレールに乗り、東京流通センターへ。この時点で時間は15:30。終了まで1時間半を切っていました。

これまでの文学フリマレポートではブースの写真などを撮影して掲載していたのですが、今回は時間がなく、急いでほしかった本を購入してきました。そこで、文学フリマ東京で買ってきた本を紹介させていただこうと思います。

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元カノを誤訳『さ、以降の再考』『じょんぱり』

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まずは、サークル「元カノを誤訳」さんへ。そこで伊藤佑弥さんの『さ、以降の再考』と『じょんぱり』を手に入れました。どちらも短く、公園に持ち出してぼーっとしながら読みたくなるような作品です。

『さ、以降を再考』は、発行日が11/23となっているので文フリに合わせた新刊でしょう。物語は、かぎかっこで語る3人の女性と、地の文で語るタチムラの共同作業で進んでいきます。途切れなく。タチムラが時に過去の人物になりきって、時に3人の女性の聞き手として語りを進めます。息つく暇もなく、過去を延々上映しているかのよう。

「元カノを誤訳」は文芸と演劇のユニットということでしたので、ぜひ演劇としても観てみたいなと思いました。これは私の情報処理能力が低くていつ誰が喋っているのかうまく把握できないからなのですが、この静かな疾走感をぜひ目と耳で体感したいというのも理由の一つです。

『じょんぱり』も変わった文体で、ある女性の人生の一部が一人称で語られます。『さ、以降を再考』と共通するなと私が思ったのは、「静かな疾走感」。佑弥さんの作品に叫びはなく、淡々と書かれているのですが、文章は次へ次へとスピード感を持って進んできます。短文の挿入。韻を踏んだラップを思わせる表現。突飛な比喩。それらのすべてが、この疾走感を演出しているのでしょう。

途中から、私は声に出してこの『じょんぱり』を読んでいました。しかし、初見でこれを音読するのはとても難しい。「ういろう売り」を暗記しようと繰り返し読んでいたときのことを思い出しました。

こちらは、ぜひ滑舌の良い方に朗読していただきたいなと思います。目で文字を追うのも楽しいですが、耳で楽しんでみたいです。

Shiny Books『アヴァンギャルドでいこう』Vol.4

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カルチャー雑誌『アヴァンギャルドでいこう』のVol.4を購入。Twitterでの宣伝を見かけてとても気になっていたのですが、装丁や組版も大変しっかりしており、自分のところで雑誌を発行するときの参考にしようと思いました。

Vol.4のテーマは「リアリティ」。文学や映画、アニメ、音楽、本などと「リアリティ」に関する評論が並んでいました。また、文章だけではなく、途中に挟まれる漫画作品も素敵です。

私が個人的に最も面白く読んだのは、R眞さんの「大森靖子賛歌」でした。2014年にメジャーデビューを果たしたシンガーソングライター大森靖子の人と作品について書いた評論文。私はこの文章に大いに共感しましたし、何より大森靖子に対する愛が詰まっているのがとても良かったなと思います。

山田宗太朗さんの「『火花』のリアリティ(とヒストリー)」や九十現音さんの「クラスメイトと『絶歌』」などは、タイムリーな話題を扱いながらも、その話題にただ乗るのではなく、筆者の「リアリティ」に真摯に向き合っているのがよく分かり、非常に好感が持てました。特に『火花』については私も以前taskey Uで記事を書いたことがありますので、至るところに納得しながら読みました(もちろん、100%納得したわけではありませんが)。

「火花」の芥川賞受賞は、文学史上の大きな事件である(第153回芥川賞受賞作と選評を読んで) | taskey U「火花」の芥川賞受賞は、文学史上の大きな事件である(第153回芥川賞受賞作と選評を読んで) | taskey U

また、映画に関する4本の評論は、フィクションにおける「リアリティ」について考えさせられるものでした。私たちは「フィクション」にある程度の「リアリティ」を求めますが、それは決して「リアル」ではない。フィクションが「リアル」を獲得したとき、それはもうすでにフィクションではなく、「リアル」です。

私はたまに演劇の役者をやるのですが、演出家に「ナチュラルな演技では伝わらない、ナチュラルに見える演技をするんだ」と言われたことがあります。これも、「リアル」と「リアリティ」の問題に関わってくるのかなと思います。

アマチュアで妥協『らくせん』Vol.1,2

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初めに言います。すみません、すべて読み終わっておりません……!

昨年の文学フリマ大阪で『らくせん』Vol.2を買って読み、とても面白い企画だなと思って、今回再販されたVol.1を購入しました。『らくせん』というタイトルから推察できるように、ここに原稿を載せている方は、いわゆる五大文芸誌の新人賞に応募して落選した方々なのです。文藝賞最四次選考の福田ミチロウさんや、文藝賞最終候補の宇野公平さんなど、かなり上までいった方の原稿も掲載されています。

新人賞を受賞した作品は、文芸誌を買えば読むことができます。しかし、惜しくも落選してしまった作品は日の目を見ることがありません。それはどこか同人誌やネットに公開されることがあるかもしれませんが、作品を探すのが困難です。

『らくせん』には、文芸誌デビュー一歩手前に方々が書いた作品が集められています。純文学系の同人誌としては、トップレベルであることは間違いないでしょう。さらに、純文学系の雑誌でデビューしたいと考えている方であれば、五大文芸誌と合わせて『らくせん』の作品を読めば、新人賞の対策は万全ではないでしょうか。(まあ、対策をしたところで力量が無ければ到底良い作品は書けないのですが)。

Vol.1,2ともにすべて読んだときにはまた感想を書かせていただきます……!

過去に文学賞へ応募した作品をこのように一冊の本にするのも素敵なのですが、Web上でまとめて多くの方に読んでもらうというのも良さそうですね。また、1つの場所に作品をまとめ、ポートフォリオのように使うというのもありなのではないでしょうか。(そう、私は今taskeyの宣伝をしています)

まとめ

以上、文学フリマ東京で出会った本の中で特に面白いと思ったものを紹介させていただきました。

1時間半しか時間がない中で、ほとんど立ち読みをすることができませんでした。その中で、事前にTwitterで見ていたもの、装丁が綺麗なもの、企画やコンセプトが明確なものが特に目に付いたように思います。

文章を磨くことはもちろん大切ですが、多くの方に本を手に取ってもらいたいと考えるのであれば、宣伝・装丁・企画の3つが非常に大事でしょう。

他にも何冊か購入したので、すべて大切に読ませていただこうと思います。来年5月の文フリも楽しみです!

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伊藤 祥太
伊藤 祥太
「よく読み、よく書く」をモットーに。小説執筆に役立つ記事を書いています。「無間書房」という文芸同人の代表をしています。

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