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あなたの小説は校閲を受けていますか?『校閲の素晴らしさを広めたい』

公開日: : 小説ノウハウ

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こんばんは。来未炳吾です。

今回は、小説を書き始めた頃から気になっていた、ある事をテーマに記事を書こうと思います。

それは『校閲者の存在』です。

私には自分の文章をチェックしてくれる読書家の友人Aがいるのですが、他のネット作家さんは、一人だけで小説を書いている『ソロ作家』が多いのではないかと、常々気になっていました。

そこで今回の記事を機会に、アンケートで集計を取ってみることにしました。

あなたのネット小説は校閲を受けていますか?

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Q.あなたが今ネットで連載中の小説は、他者からの校閲を受けていますか?

※集計期間:2016/4/24~2016/5/1

ご参加して頂いた方、ありがとうございます!

投票数は85票でした。ネット小説界全体の傾向…と謳えるほどの票数は集められませんでしたが、それでもこのアンケートで、「いいえ」と答えた方が78%にも達したことは、意味のある偏りだと思えました。

この結果を見た限りでも、そもそも校閲を受けた経験が一度もないという方が多いのでは、と思われます。

今回の記事では、校閲の素晴らしさを広めたいという気持ちも込めています。ですので、ちょっと恥ずかしいですが、私が過去に友人から受けた校閲のやり取りを、少しだけお見せしますね!

実際の校閲のやり取り

小説を書き始めてからしばらくして、私は実力試しのつもりで、とある小説大賞に応募する事にしました。これからお見せするのは、その時に私が、友人Aから受けた校閲のやりとりです。

校閲してもらうことで、私が気付けたことを3つご紹介します。

①言葉の意味を勘違いしている

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文章:その中に立つ自分の姿は、まるでボロい藁人形の様な形相をしていた。
指摘:「形相」だと顔だけになるから、「姿かたち」とか

主人公が恐ろしい精神攻撃に飲み込まれようとしている場面です。

上記はその世界の中で、自身の体が異形な姿になってしまっていた事に対する文章ですが、「形相」という言葉に指摘が入りました。「形相」は顔の形や表情に対して使うもので、全身を表す意味を持っていないということです。たしかにここは、自分の姿を丸ごと指している文章なのですから、このままではおかしいですね。

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文章:悠太郎は何げなく手の平をかざしてみると
指摘:「かざす」だと「太陽がまぶしくて手で光をさえぎる」みたいな動作のイメージ

味方から出てきた不思議な光球を、主人公が自分の手の平の上に乗せる場面です。ここで私は〝かざす〟という言葉を用いましたが、コメントにもある通り、実際には手を差し出す動作でした。

一つ目の「形相」もそうですが、単純な動作でも、言葉で表現する機会があまりないことを書いた箇所では、このような指摘を受けることがありました。

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文章:じっとりと漂う湿度と蒸し暑さが
指摘:湿度は漂わない

人の往来が激しい都会の夏の夜の、むしむしとした暑さや息苦しさを表現しようと、あれこれ文章を練ったところだったのですが、そもそも言葉の意味を勘違いしていました。

〝湿度〟とは空気の湿り具合を数字で表したものを指す言葉ですが、私は〝湿度〟という言葉を〝湿った状態を指す単語〟としても使えると思ってました。

②必要性のない表現

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文章:植物の成長を早送りで見ているようなその生え方に、悠太郎の三半規管は狂いそうになった。
指摘:なぜに三半規管が?

主人公が、この世のものとは思えない不気味なものをみて、強い吐き気に見舞われた場面です。

私は最初「三半規管が狂いそうになった」と書きました。しかし友人Aはここで〝三半規管〟という用語が用いられていることに疑問を持ちました。

私は友人Aに電話をかけ「三半規管が狂うことで平衡感覚を失い、気持ちが悪くなったのだ」ということを説明しましたが、「敵の攻撃がそういうものだったのか、どうしても三半規管ではなくはならないのか」と詳しく追及される内に、ここでは不要な表現をしていることに気が付けました。

例えば、この小説が医療や人体に関するテーマの作品だったり、敵の攻撃が人体機能の破壊に特化したものであるなら、必要な描写だと言えたかもしれません。でも、そういった理由はなく、ただ私が三半規管という言葉を使ってみたかっただけであることが判明しました(笑)

この後、「吐き気を催(もよお)した」と書き直して再提出しましたが、もっと多くの人が読みやすい字に変えたほうがいいとの指摘があり、「吐き気が込み上げた」としました。

③自分の学力が基準になっている

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文章:何をエネルギーにして生きているのかがふと気になったが、ピカピカ光ってたからどうせ光合成でもしてるんだろと、
指摘:光合成するには「葉緑体」という葉っぱの緑色の部分が必要

共同生活をすることになった謎の生命体ヒカリは、食べ物を必要としないという事から、主人公は彼女がどうやって栄養補給しているのかを考えました。そして、元は光の球で、ピカピカと光っていたということから、光合成でもしているんだろと、適当に考えました。

主人公がこの時、正確な答えが知りたい気分ではなかったということをその後の文章で読者に伝えているのですが、こう書いた事で、主人公の学力・知力が読者に推し量られる場面になっていることを、私はわかっていませんでした。

「光っていたこと」を理由に「光合成」と結びつけている事が、検討のポイントとなりました。主人公は一般的な大学生ですから、相応に一般知識や学力を備えていると考えられました。検討の末に「光っていたから」という記述を削除しました。

当時は、私自身が知っている事、知らない事を基準に書くことが精一杯でした。ですので、この箇所でのやり取りのように、主人公の知識や学力が検討に挙がることがよくありました。

この校閲で成長できた

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こうして、文章のほぼ全体に対して、友人Aからの指摘が入りました。

書き直しの度に、自分は言葉の意味を間違えて覚えすぎであることと、自分は語彙が乏しいことを痛感しました。

「これ」と決めた文以外、他の文章が作れなかったからです。どの指摘も、自分一人で書いていたら気が付けないことばかりでした。

大賞用の小説を書き始めた頃は「受賞は無理でも最終選考くらいまでは行ってほしいなぁ(*゚▽゚*)」と大きく考えていたのですが、終わる頃には「下読みくらいは通ってほしい」という気持ちになっていました。でもそれは、自信を無くして気持ちがしぼんだとか、そういう感じではないんです。

この校閲による検討のお陰で、自分にはたくさんの思い込みがあり、現実の認識力や国語力が、いかに不正確なものであったかを思い知りました。

この作品の執筆と校閲を通して、自分の実力をより正確に知る事が出来たので、もっと先を見ることができるようになったのです。

まとめ

校閲とは、文章のおかしなところを見つける作業です。事実と異なる、表現が適切ではないなど、間違いを見つけて指摘することです。

友人Aによる校閲を通して、私の書いた文章内の間違いを直すことはできました。結果は、下読み落ちでしたが、校閲が無駄だったのではありません。

文章の表現を良くして、小説としての完成度そのものを高めることは、校閲ではなく私の力にかかっていた部分であり、その力が足りなかったということです。

私も、どちらかといえば自分の力でやりたいと思っている方です。いつか、出版社や企業を通して本を出版したいとも思っています。その上で、『文章力アップの為には、たくさん小説を書くことだ!』と考えていました。たしかにそれも重要だと思います。

でもこの校閲を通して、何よりも校閲してもらうことが一番の早道だと思うようになりました。

何故なら、校閲によって暴かれた間違いの数々は、もし自力で気づくとしたら何年もかかる、いやもしかしたら一生わからなかったことかもしれないと、正直に思うからです。

自分で校閲ができる感覚が磨かれれば、それだけ、よい文章を練るために使う時間を増やせます。知識はあればあるほど有利ですが、日頃から「言葉を選びなおす」意識を持てることが重要だと思います。自分以外の観点からの指摘は、そういう感覚作りのための、良き刺激になると私は思うのです。

今のネット小説界は、一人で書く事が当たり前になっている気がします。そう思うのも、校閲作業が話題になることを、あまり見かけないせいなのかもしれません。

校閲を受けられない・校閲者がいない理由として、例えば、友人や家族の中で一番の読書家が自分であり、校閲をお願いできる人が身近にいないという境遇の人はいると思いました。校閲は自分より本を読んでいない人には任せにくいことですよね。他に、「自分一人の力でやりたい」というポリシーを持って、創作活動をされている方もいるでしょう。

私は、他のネット作家たちの環境や事情をより詳しく調べる為に、上記のtwitterのアンケートと同時進行する形で、より詳細な回答を求めたアンケートを実施しました。

※回答受付期間は5月末までの予定。実際の受付期間など詳細は上記アンケートフォーム内にてご確認下さい。

こちらの結果については、次回寄稿予定の『後編』にてお伝えします。

読了ありがとうございました!

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来未炳吾
taskey Uアンバサダー。来未炳吾(くるみ ひょうご)と申します。2015年10月頃にtaskeyの中で巣作りをしました。読書よりも綴ることに時間を使う人です。他所ではkindle書籍を出版したり、映画を制作したり、あんなことしたり、こんなことをしています。発達障害ASP当事者の一人。古本屋。

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