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『人間失格』など、有名文学作品の入り口に最適なライトノベル『“文学少女”』シリーズ

公開日: : 最終更新日:2016/06/11 おすすめ小説

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こんにちは。taskey U編集部の飯泉です。

『人間失格』など、タイトルは知っている有名作品でも、読むきっかけや意欲がなかなか作りにくいことは多いと思います。

無理をしてでも読む! という気持ちで読み始めても、長続きしないことがあるのではないでしょうか。

そんなとき、ライトノベルを読み慣れている方なら、『“文学少女”』シリーズから有名作品に入ってみることをおすすめします。

有名作品とリンクするミステリー

『“文学少女”』シリーズは、有名な文学作品をモチーフにしたライトノベル。

モチーフとなった文学作品と似たストーリーの展開や構成を辿る他、その作品に大きな影響を受けたり、強く共感したりした人物が登場します。

シリーズ第1巻の『“文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)』は、太宰治の『人間失格』をモチーフにした物語。

文芸部に持ち込まれた「恋文の代筆」の依頼を受けることになった主人公の井上心葉は、依頼人・千愛の代わりに恋文を作成する内、依頼に不自然さを感じ始めます。

その原因であり、千愛が恋文を送る相手でもある「片岡愁二」という人物を探す心葉。しかし、学校の生徒名簿の中からも名前を見つけられません。

「片岡愁二」の存在を主張する千愛を問い詰め、渡された愁二の手紙には『人間失格』をなぞる文章が多く含まれていて…。

『人間失格』の主人公と同様に「人の心が分からず道化を演じている」愁二と、その手記に書かれる「道化を見抜いた」Sの正体を探る展開は、『人間失格』を読んでいる人も、読んでいない人も楽しめるストーリーです。

「元天才美少女作家」と“文学少女”の文芸部

本作の主人公・心葉は、中学時代に応募した小説がベストセラーになり、女の子のようなペンネームを使ったために「天才美少女作家」となってしまった経験のある男子高校生。

とある経験から小説を書くのをやめてしまった心葉でしたが、自称・文学少女の天野遠子が「物語を食べている」ところを目撃してしまい、文芸部に入部することになります。

直筆で書かれた物語をなによりも愛する遠子に、「おやつ」として三題噺を要求される心葉。どんなに下手な文章で書いた物語でも、批評や感想を交えながら「完食」する遠子は、心葉専属の辛抱強い編集者のような立ち位置にもなっています。

「初恋」「苺大福」「国会議事堂」といった、遠子が出すめちゃくちゃなお題はもちろん、お題に応えて心葉が書く三題噺の内容も見逃せません。

小説を書く側の視点で、「このお題ならどんな話が書けるかな?」と想像してみるのも楽しそうです。

「味覚」で表現される“文学少女”の書評

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食事の代わりに物語を食べる“文学少女”の天野遠子は、物語の感想でも味覚を使った独特の表現を用います。

たとえば、『“文学少女”と死にたがりの道化』では、フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を食べた遠子がこのように語っています。

「う~ん、美味しいっ。フィッツジェラルドってすごく華やかな味。虚飾と栄光と情熱がワルツを踊っていて、パーティーで、きらきらのキャビアをシャンパンと一緒にいただいてる気分。歯をあてると繊細な薄皮がぷちんとはじけて、薫り高い液が舌の上にこぼれてくるの。主人公のギャッツビーが、ものすご~~~く純情で応援したくなっちゃう」

『“文学少女”と死にたがりの道化』p.37

普通の食事を摂っても味を感じることのできない遠子が想像で語る味覚は、どこかおとぎ話のような雰囲気を醸し出しています。

「こんな味のする物語は、どんな話なんだろう…」と想像すると、また新しい作品に出会えるのではないでしょうか。

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

また、遠子が好きなのは「甘い恋愛小説」で、心葉に要求する「おやつ」にもよく恋愛ものをリクエストしますが…めちゃくちゃなお題に応えた心葉が嫌がらせで書いたはちゃめちゃな展開の物語は、ゲテもの料理のような味がするようです…。

「やだぁ、苺大福の箱が落っこってきて初恋の人が死んじゃった~~~~~。やだぁ、やだぁ、ヘンな味~~~~。お豆腐のお味噌汁に、あんこを浮かべたみたい~~~。ぐすっ、ひっく、マズイよ~~~」

『“文学少女”と死にたがりの道化』p.21

おわりに

いかがでしたか?

「美食家」である遠子の作家紹介を見ると、硬いイメージのある文学作品にも興味が湧いてくるかもしれません。

特に、クライマックスで遠子が力説する太宰の魅力は一読の価値あり。

『“文学少女”と死にたがりの道化』を読んだあとは、『人間失格』をはじめとした太宰作品にもチャレンジしてみてくださいね。

“文学少女”と死にたがりの道化【ピエロ】(ファミ通文庫)

人間失格‐青空文庫

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飯泉 涼花
飯泉 涼花
文章を書くことばかり考えています。大学では小説創作を専攻し、創作のノウハウや批評の仕方などを学んできました。クリエイターのみなさまの創作意欲を刺激する記事が書けるよう、頑張ります!

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